この記事を読む前に:ヴィジガルはリオデジャネイロのファベーラです。日本の外務省はブラジルの危険情報(2026年2月20日更新)で、ファベーラには「決して近付いたり立ち入ったりしないでください」と呼びかけています。泊まることを考えている方は、予約の前にもあわせて読んでください。
火曜日の夕方。医療用のスクラブを着た女性が、買い物袋を二つ提げ、小さな子どもを腰に抱えて、Avenida João Goulartを上っていきます。ビーチへ下りていくドイツ人の旅行者が二人、夕食をどこにするか言い合いながら、彼女とすれ違います。客待ちのモトタクシーの運転手は、サンバを口ずさんでいます。「ヴィジガルは安全?」と聞く人が知りたいのは、こういう街の様子です。そして、ふだんの日については、これが答えのほとんどでもあります。
この質問は、Reddit、Tripadvisor、WhatsAppのグループ、そして私たちの受信箱で、週に100回ほども寄せられます。ヴィジガルについて、特によく検索される言葉のひとつでもあります。私たちの部屋はエレベーターのない建物の3階にあり、これまで115件以上の滞在を受け入れてきましたが、ゲストのおよそ3人に1人から、何らかの形でこの質問を受けます。到着の前の晩のこともあれば、当日の朝のこともあります。どの場合も、その奥にいるのは、慎重に旅をしようとしている、ごくまっとうな旅行者です。
そこで、ここではありのままの話をします。観光局の宣伝文句でも、CNNの見出しのような話でもなく、来週の木曜日にリオに着く友人に話すのと同じ内容です。
リオの治安のいま
リオデジャネイロは人口620万人の都市で、ファベーラが約760あります。ファベーラとは、住民が自分たちで家を建て、公的な計画の外で形づくられてきた住宅地のことで、市の人口のおよそ4分の1がそこで暮らしています。危険なところもあれば、落ち着いたところもあります。大半は、世界のどこにでもある労働者の住宅地と変わりません。子どもの学校の送り迎え、ボテキン(軽食も出す大衆酒場)での昼ごはん、バイクの修理屋、福音派の教会、ビーチサンダルで走り回る子どもたち。
ヴィジガルは、ふだんは落ち着いているほうのファベーラです。レブロンとサン・コンハードのあいだの斜面にあり、ドイス・イルマオンスの南側を回り込むように広がっています。住民はおそらく1万2,000人ほどで、端から端まで20分ほどで歩ける広さです。山の反対側にあるずっと大きな隣の地区、ホシーニャの人口は7万から10万人ほどとされます。英語の旅行記事ではこの二つがひとまとめにされがちですが、そうするべきではありません。歴史も、地域をまとめる仕組みも、リスクのあり方も違う、別々の地区です。
まずは大きな流れから。ここが大事だからです。リオ州の殺人発生率は、2020年代に入ってから下がる傾向にあります。リオ州の公式な犯罪統計機関である公安研究所(Instituto de Segurança Pública)によると、2026年1〜3月の暴力による死者(letalidade violenta)は、2025年の同じ時期より約12%減りました。2024年の州の殺人発生率は人口10万人あたり20.35で、前年の21.96から下がっています。観光パンフレットに載せるような数字ではありませんし、よい数字とも言えません。それでも数字は正しい方向に向かっていて、その暴力の大半は、旅行者が泊まる南部(ゾナ・スル)の外で起きています。
リオデジャネイロ州の公安統計(ISP)をもとにした外務省のまとめでは、2024年のリオ州の人口10万人あたりの殺人事件は約18.3件、強盗は約666.3件で、依然として高い水準です。暴力は郊外のバイシャーダ・フルミネンセと北部(ゾナ・ノルチ)に大きく集中していて、どちらも旅行者がふつう訪れる場所ではありません。ただし、南部の観光地でも強盗やひったくりは起きています。
ヴィジガルは安全か:短くまとめると
ふだんの観光で過ごす日については、泊まったゲストの多くが「安全に感じた」と話していて、ヴィジガルは10年以上前から旅行者がふつうに訪れる場所になっています。ただし、武装した麻薬密売組織はいまも活動していて、銃撃戦をともなう警察の作戦もいまだに起きます。直近では2026年4月20日、ドイス・イルマオンスの山頂にいた約200人が、朝7時半ごろまで下山できませんでした(けが人の報告はありません)。ふだん気をつけるべきことは、リオのどこでも同じです。ビーチでのスマートフォンのひったくり、人通りの少ない時間帯にときどき起きる強盗、そして前に出てはいけないバイク。流れ弾、組織の報復、誘拐といった、ファベーラと聞いて多くの人が心配することは、ヴィジガルのふだんの姿ではありません。
- ヴィジガルでは、ホステル、レストラン、屋上のバー、アトリエがふつうに営業しています。
- メイン通り(Avenida João Goulart)には街灯があり、パトロールもあり、夜遅くまで人通りがあります。
- リオで旅行者が巻き込まれる事件の多くは、ヴィジガルではなくコパカバーナで起きています。
ヴィジガルの歴史をかんたんに
ヴィジガルに人が住みはじめたのは1940年代です。ふもとの平地の住まいには手が届かなかった漁師や建設労働者が、ここに移り住みました。それから60年、行政がほとんど関わらないまま、街は山の上へと少しずつ広がっていきました。電気は住民が工夫して引き、水道も同じ。通りの名前も住民がつけました。住民が自分たちで街をつくり、その過程で強い結びつきが生まれました。治安を考えるうえで、これは多くの旅行者が思う以上に大事なことです。
1980年代から90年代にかけて、コカインの取引がリオの街のあり方を変えていくなかで、一部のファベーラ(すべてではありません)が麻薬密売組織の拠点になりました。ヴィジガルも時期によってはそのひとつでしたが、ホシーニャやコンプレクソ・ド・アレマンほどの規模になったことはありません。2014年のワールドカップと2016年のオリンピックを前に、リオ州政府は2011年11月にヴィジガルへ警察を送り込み、2012年1月、UPP(警察の治安部隊、Unidade de Polícia Pacificadora)が正式に置かれました。
UPPの時代(2012〜2017年)に、街は急速に変わりました。観光客が訪れるようになり、ホステルができて、ヴィジガルは海外のメディアでも取り上げられるようになりました。不動産の価格は上がり、屋上のバーが開き、海を望む新しいレストランにはレブロンから客が集まりはじめました。ふもとの正規の街、いわゆる「アスファルト(asfalto)」の人たちが、初めて本格的に丘を上ってきたのです。よい変化もありました。一方で、40年も住んできた住民にとっては、ジェントリフィケーション(地価や家賃が上がり、元の住民が押し出されること)の圧力にもなりました。そのすべてが、いまも落ち着き先を探しているところです。
UPPは、州の財政が破綻し、市全体で政治的な支持も失うなかで、2017年ごろに縮小していきました。いまのヴィジガルの公式な警備は、地域密着型のパトロールに、交代で配置される部隊が加わった形に近く、それを住民協会や古くからの商店主、そしてUPP以前からあってUPPのあとも残った非公式な秩序が補っています。ここは、少していねいな説明が必要なところです。この地区は無法地帯ではありません。秩序のあり方が違うのです。武装した麻薬密売組織も、いまも活動しています。ほとんどの日、ほとんどの旅行者にとって、その違いは目に見えません。
数字と、これまでの滞在からわかること
この部屋を短期滞在の宿として始めてから、およそ30か国のゲストを迎え、115件以上の滞在を記録してきました。カップル、ひとり旅の人、小さな子どもを連れた親子、映画の撮影クルーが1組、バチェロレッテ・パーティー(結婚前の女性たちのお祝い)のグループが1組、プロサーファーが2人、そして2回も戻ってきてくれた、シュトゥットガルトの引退した歯科医。平均の滞在日数は5泊ほどで、レビューの評価は4.86です。
ホストの記録では、これらのゲストのうち、ヴィジガルの中で安全上のトラブルにあったと報告した人は一人もいません。これは統計的な証明ではなく、ひとつのデータにすぎません。大事なのは、そのまわりの全体像です。ヴィジガルには、営業中のホステルがいくつもあり、丘の上のほうのテラスにはジャズバー、きちんとしたレストランが何軒か、ビーチまで配達してくれるピザ屋、レバノン料理の店、驚くほどおいしいアサイーの店、クロスフィットのジム、小さなスーパーが3軒、パン屋が2軒あり、一本しかないメイン通りをモトタクシーがひっきりなしに上り下りしています。これが街のインフラです。こうした店が営業を続けていること自体が、ふだんの街の様子を物語っています。
リオ全体と比べてみましょう。公安研究所によると、2025年、リオ市内の携帯電話の盗難は1日200件近く、年間で7万2,000件を超えました。こうした盗難が集中しているのは、コパカバーナと中央バスターミナルの周辺です。コパカバーナでは、そのために住民が自主的な見回りを組織するようになりました。これが、いまのリオの路上犯罪の実態です。その中心はヴィジガルではなく、コパカバーナの海沿いの遊歩道です。
ときには、ヴィジガルの出来事が海外のニュースになることもあります。2026年4月20日の朝には、麻薬密売組織の幹部を狙った警察の作戦がヴィジガルで行われ、銃撃戦が起きました。ドイス・イルマオンスの山頂で日の出を見ていた約200人が7時半ごろまで下山できず、ふもとのニーマイヤー通りも一時通行止めになりました。けが人の報告はなく、3人が逮捕されています。こうしたニュースは、見出しだけでなく、中身まで落ち着いて読むことをおすすめします。ふだんは穏やかな日が続いていても、こうした日が突然来ることがある。それも、ヴィジガルの現実です。
「ヴィジガルは安全か」と同じくらい大事なのは、「自分は注意深く旅をしているか」です。 質問してくれたゲストに、いつも伝えていること
誇張されていること、本当に気をつけたいこと
ネット上にあるファベーラの危険についての情報には、10年も前に書かれたものや、実際に行ったことのない人が書いたものが少なくありません。まったくの間違いもあれば、古くなっているのにもっともらしく聞こえるものもあり、本当で耳を傾けるべきものもあります。この三つを見分けることが大切です。
誇張されていること
- 「武装した検問で止められる」。ヴィジガルで、旅行者が検問で止められることはまずありません。
- 「観光客が誘拐される」。外国人旅行者が長いあいだ連れ去られるような誘拐はまれです。ただし外務省は、ATMやPIX(即時送金)でお金を引き出させてから解放する「短時間誘拐」がブラジルで多発しているとして、注意を呼びかけています。
- 「入るにはガイドが必要」。必要ありません。ヴィジガルは住宅地です。歩いて入り、夕食の代金を払い、チップを置いて、歩いて帰る。それだけです。
- 「流れ弾はよくあること」。リオには流れ弾が珍しくない地区もあります。ヴィジガルはふだんそうした地区ではありませんが、警察の作戦で銃撃戦が起きる日はいまもあります。
- 「目立って狙われる」。目立つのは確かです。でも、メイン通りでは観光客はよく見かける存在で、それだけで狙われることはふつうありません。
本当にあること、知っておきたいこと
- 通りすがりのバイクによるスマートフォンのひったくりは、リオ全体のリスクです。多いのは、ふもとの海沿いの遊歩道やバス停です。
- 丘は急で、路面はでこぼこです。強盗にあう旅行者より、足首をひねる旅行者のほうが多いくらいです。
- 地区の奥にある細い路地(becos)は、住民の暮らしの場で、私的な空間です。よその家の庭に勝手に入らないのと同じように、招かれていないのに入り込まないでください。
- 長距離バスターミナル(Rodoviária Novo Rio)は、深夜は本当に危険な場所です。これはヴィジガルに限らない、リオ全体の注意点です。
- 人を、特に子どもを、断りなく撮影するのは大きなマナー違反です。敵意と受け取られ、反発を招くこともあります。
おもしろいのは、このずれです。旅行者がヴィジガルに持ってくる不安の多くは、映画や昔のニュースでつくられた、漠然とした「ファベーラ」のイメージから来ています。実際に出会いやすいのは、ラテンアメリカの海沿いの大都市ならどこにでもある、ありふれたリスクです。派手な格好をしない。知らない場所で酔っぱらわない。公共交通機関で高価な電子機器を出さない。朝4時にバーから歩いて帰るとき、財布を後ろのポケットに入れない。
メキシコシティやブエノスアイレス、リスボンで旅の注意を心得ている人なら、ヴィジガルでも基本の心がけは同じです。
現地で役立つ5つのルール
役に立つ順に5つ挙げます。印刷するか、スクリーンショットを撮っておいてください。
- 暗くなってから丘を上るときは、モトタクシーかUberで。夜にひとりで、つづら折りの坂道を歩いて上らないでください。モトタクシーの運転手は許可を受けていて、速くて安く(R$5〜R$8)、道をよく知っています。R$5
- 知らない人を、断りなく撮らない。子どもは特にです。丘の上のほうに立っている人や、武器を持った人は決して撮らないでください。先に声をかけ、断られたらスマートフォンをしまいましょう。
- ふもとの海沿いでは、スマートフォンをしまっておく。これはヴィジガルというより、コパカバーナやイパネマでの注意点です。危ないのは、丘の上よりも、バス停や横断歩道、海沿いです。
- ロレックス、これ見よがしのiPhone Pro、太い金のアクセサリーは身につけない。時計はカシオで十分です。iPhoneは前のポケットに。リオで高級時計に感心する人はいません。いくらで売れるか、計算されるだけです。
- まずホストに聞く。ある通りやバー、歩くルートが大丈夫かどうか迷ったら、聞いてください。すぐに返事をします。それが私たちの仕事です。
ヴィジガルとホシーニャの違い
英語の旅行記事でとくによくある間違いが、この二つの混同です。ヴィジガルとホシーニャは同じ山を分け合っていますが、街の性格は違います。同じ山にあるからといって、同じような場所だと考えるのは間違いです。
ヴィジガルは小さな地区で、住民は1万2,000人ほど。この15年ほどで、旅行者がとても多く訪れるようになりました。大通りは丘を上る一本道で、そこから脇道が枝分かれしています。1日もあれば、街のつくりがわかります。外からの客を相手にする店も目につきます。住民には、観光が地域の経済の一部になってきた長い記憶があり、多くの人は、ほどほどであれば歓迎しています。
ホシーニャは、ひとつの小さな都市です。人口は、誰の推計によるかで7万から10万人。実際はもっと多いという住民もいます。独自のバス路線があり、2本の幹線道路が通り、どこの街の中心部とも変わらない商店街があり、何層にも重なった、本当に複雑な組織の構造があります。車で通り抜けるぶんには危険な道というわけではなく、ガイド付きのツアーで訪れる人も多くいますが、旅行者がひとりで歩いて入るとなると、ヴィジガルとは考えるべきことが違います。ホシーニャを見たいなら、よく知っている人と一緒に行ってください。詳しくはホシーニャを訪ねるときの心得ENに、二つの地区の比較はホシーニャとヴィジガルの比較ENにまとめています。
ヴィジガルでは、旅行者を迎える流れがすでにできあがっています。Bar da Lajeで食事をし、Mirante do Arvrãoで夕日を眺め、カポエイラのクラスに参加し、丘の上のほうの道場でムエタイのレッスンを受けることもできます。どれもガイドなしででき、スタッフは用が足りる程度の英語を話します。リオのほかのファベーラで同じことをしようとすると、もっと難しくなります。旅行者の受け入れに慣れているという点で、ヴィジガルは訪れやすいファベーラです。
知っておいてほしいこともあります。ヴィジガルの観光は、住民にとっていいことばかりではありません。ここではジェントリフィケーションがいまも議論されています。家賃は上がり、長く住んでいた借家人は丘のさらに上へと押し出され、自分たちの街が「暮らす場所」より「写真を撮られる場所」になっていると感じる住民もいます。敬意を持って訪れることは、安全のためのルールであり、礼儀のルールでもあります。この二つは同じルールです。
ヴィジガルとリオのほかの地区の比較
見方を少し変えるための、おおまかな目安を紹介します。1日24時間を平均したときの、旅行者にとってのリスクで、リオの場所を低い順に並べると、だいたい次のようになります。
- リスクがとても低い
- 昼間のヴィジガルのメイン通り、昼間のイパネマ・ビーチ、時間を問わずジャルジン・ボタニコ地区、レブロンの住宅街。
- リスクが低い
- 夜のヴィジガル(上りに車やモトタクシーを使う場合)、アルポアドール側から離れた昼間のコパカバーナ、平日のラパ。
- リスクは中程度
- 夜のコパカバーナの遊歩道、金曜・土曜のラパ、18時以降のセントロ(旧市街の中心部)。
- リスクが高め
- 深夜の中央駅周辺、時間を問わず長距離バスターミナル、北部(ゾナ・ノルチ)のファベーラ、高架道路の一部区間。
ヴィジガルのテラスのレストランで夕食をとり、夜11時にモトタクシーで部屋に戻り、翌朝はアルポアドール海岸でサーフィンをする旅行者は、統計のうえでは、リオでも比較的落ち着いた場所で過ごしていることになります。コパカバーナのビーチの売店で3時間Skol(ブラジルのビール)を飲み、スマートフォンをどこかに置き忘れ、夜中の1時に地下鉄の駅を通って歩いて帰る旅行者は、そうではありません。二人とも、特に無茶なことをしているわけではありません。抱えているリスクの種類が違うだけです。
人口あたりで見ると、スマートフォンのひったくりも、旅行者を狙った強盗も、ヴィジガルよりコパカバーナのほうが多いのです。意外に思う人は多いのですが、理由は単純です。コパカバーナでは、お金を持っている旅行者が狙われやすい。ヴィジガルでは、ほとんどの日、あなたは坂を上っていく大勢のなかのひとりにすぎません。
カリオカ(リオっ子)の言い方なら、もっと短く済みます。Use a cabeça、つまり「頭を使って」。どの街でも、どの丘でも同じです。
~~~よく聞かれるので、警察の作戦についても少し書いておきます。リオ州政府は、ファベーラで特定の標的を狙った作戦をときどき行っていて、ヴィジガルとその周辺も例外ではありません。作戦は計画的に、情報にもとづいて行われ、多くは朝のうちに終わりますが、銃撃戦になることもあり、前もって知らされるとは限りません。作戦が行われているときは、ホストからお知らせします。それでも、前に書いた2026年4月20日のドイス・イルマオンスのように、その場に居合わせた人がしばらく足止めされることもあります。
ヴィジガルでずっとよくある「事件」は、建物のヒューズが飛ぶこと、カーニバルの時期のブロコ(路上パーティー)が夜中の2時を過ぎても続くこと、ベランダに迷い込んでくる野良猫です。この三つは、ほかのどんな出来事よりも、ずっと多く経験してきました。
最後に、もうひとつの見方を。人がヴィジガルの治安を気にするのは、ファベーラをひとつの「種類の場所」として考えるように教えられてきたからです。でも、ファベーラは場所の種類ではなく、住まいのかたちです。正規の住宅に1世紀にわたって十分なお金が回ってこなかった国で、人々が自分たちで建ててきた住宅地なのです。そこに暮らしているのは、教師、看護師、大工、グラフィックデザイナー、おばあさん、連邦大学の学生、バスの運転手、屋台の料理人、そしてたくさんの子どもたちです。人々が思い描く危険の多くは、よそでつくられたイメージです。実際にそこにあるのは、人が暮らす街です。この街がどうやってできたのか、詳しくはヴィジガルの歴史ENをお読みください。
よくある質問
昼間、歩いて丘を上っても安全ですか?
ふだんの日は、歩いて上り下りするゲストが多く、「安全に感じた」という声もよく聞きます。メイン通り(Avenida João Goulart)は店やレストランが並ぶにぎやかな通りで、明るいあいだは住民や旅行者、配達の人がいつも行き来しています。坂は急ですが、それは治安というより体力の問題です。
夜はどうですか?
夜は昼間ほど気楽にはいきません。上りはモトタクシーかUberを使うのが現実的です。料金はわずかで、住民もいつも使っています。メイン通りに人通りがあれば、夜に歩いて下りるのはたいてい問題ありませんが、深夜1時にひとりで歩いて上るのはやめましょう。
Uberでヴィジガルの中まで行けますか?
はい。Uber(や99)の車は、ふつうにヴィジガルに入ります。住所を入れれば、たいてい丘の上まで行ってくれます。丘のふもとで降ろして、残りはモトタクシーで、という運転手もいますが、これは主に車の都合によるもので、治安の問題ではありません。
女性のひとり旅でも安全ですか?
女性のひとり旅のゲストは何年も前からよく泊まっていて、「安全に感じた」という声も届いています。気をつけることは、リオのどこでも同じです。夜は車やモトタクシーを使い、スマートフォンはしまっておき、その場の空気を自分でよく感じ取ること。ヴィジガルには落ち着いた住宅街の雰囲気があり、住民どうしがよく目を配っているので、ひとり旅のゲストからは「怖いというより、安心できた」という声をよく聞きます。
警察の作戦を見かけたら、どうすればいいですか?
室内にいてください。窓を閉めて、ホストに連絡を。作戦は特定の住所や人物を狙ったもので、たいていは短時間で終わりますが、2026年4月20日のように銃撃戦になり、道路や登山道がしばらく通れなくなることもあります。メイン通りにいるときは、落ち着いて向きを変え、宿のほうへ歩いて戻ってください。撮影はせず、近づかないでください。
ノートパソコンを持って行っても大丈夫ですか?
はい。ゲストはノートパソコンやカメラ、仕事の道具をよく持ってきています。部屋の中なら問題ありません。外では、大都市でのふつうの用心を。ビーチで広げたり、混んだバス停で仕事をしたりするのはやめましょう。
リオへ行くのに海外旅行保険は必要ですか?
いつでも、どこへ行くときでも必要です。ヴィジガルが特別に危ないからではなく、保険なしの海外旅行は、どの街でもおすすめできないからです。リオの場合は特に、緊急移送の費用と、電子機器の紛失や盗難が補償に含まれているか確かめてください。
ここまでをまとめます。2026年のヴィジガルは、リオのなかでも旅行者がよく訪れ、人を迎えることに慣れた地区で、泊まったゲストの多くが「安全に感じた」と話しています。ふだん気をつけるべきリスクの多くは、注意していれば対処できるものですし、誘拐や検問のような、よく心配される危険の多くは、よそでつくられたイメージです。ただし、武装した麻薬密売組織はいまも活動していて、2026年4月20日のように、警察の作戦で銃撃戦が起きる日もあります。そのうえで、メイン通りを歩き、ピザを食べ、モトタクシーで坂を上り、夕暮れにラージ(屋上のテラス)に立って、海の向こうのレブロンが金色に染まっていくのを眺めれば、何度も戻ってくる人がいる理由がわかるはずです。私たちの言うバルコニーからの眺めは、こちらの部屋で見られます。どちらにしても、よく考えて旅をしてください。
